日本の不動産市場は、昨年秋以降の国際金融危機に端を発した実体経済の悪化に伴い、ここ数年間の大都市圏での価格上昇が終息し、今年に入って一層の値下がり傾向が顕著となっています。
この環境悪化の中で、所有不動産に関しては、その収益性を維持し、最適化するための対策強化が、経営戦略上、今まで以上に必要となってまいりました。
また、一方で、賃借中のオフィスビルや住宅などは、市況の変化による市場賃料水準を適格に把握し、適正賃料に改定すべく対応をすることが、財務上有効となります。
このように景況悪化の中での不動産資産を最適化するための基本的実務としては、まず、保有または賃借している不動産資産の実勢価値を専門的に調査することが必要となります。
当社では、不動産鑑定士2名が東日本地区と西日本地区の不動産実勢価格評価を行うと共に、ビル賃料に関しては、ビル経営管理士等による個別調査に基づく適正賃料水準評価を迅速かつ低コストで実施できる体制となっております。
不動産評価と最適化手法について
不動産評価の有効性
A. 不動産実勢評価手法
B. 不動産資産データベースの作成
更に、不動産資産の物件概要、帳簿価格、実勢価格、賃貸借契約期間、現状賃料、適正賃料等のファシリティデータベースを整備し、一覧を作成する実務サービスを行っております。
不動産資産最適化のための実践手法
A. 管理業務レベルチェックとコストダウン
不動産資産評価に基づき、不動産資産最適化のための具体策を講じる必要があります。
所有不動産資産に関しては、まず管理体制や修繕計画の有無を確認し、実態を調査します。具体的には、日常管理業務と定期点検、清掃(定期清掃+日常清掃)などが適切な契約条件で的確に行われているかの実態調査を行います。
たとえば、清掃契約に関して清掃面積は賃貸借契約面積(壁芯面積)で締結されているケースが多いのですが、実際は内法面積で算定するべきなのです。これだけでも5%から10%の清掃費削減となります。これは賃借ビルに関しても同様です。
当社では、設計図面等により、できるだけ正確なな内法面積を算定させていただきます。また、管理業務レベルとコストの評価を行い、最も効率的な管理体制のご提案を致します。更に、長期修繕計画(年度計画・中期計画)の策定のためのコーディネートを致します。
B. 所有不動産の売却または保有の判定
次に、所有不動産資産に関して、個別の不動産資産ごとに、売却が優位か所有を維持すべきかを判定することが重要です。
その際、単に交換価値のみではなく、将来的な使用価値を考慮した判定が必須となります。この判定に基づき、所有不動産資産のグルーピングをしておくことが、経営戦略にとって多大な効果をもたらすこととなります。
また反対に、ビル等の取得により賃借から所有へと転じることも、物件によっては有効となることも想定されます。いずれの場合も、その時点のみではなく、中・長期的な分析による判断が必要となります。
所有不動産資産売買に際しては、緻密なデューデリジェンス(物件総合調査)が必要です。更に、売買の相手方調査(財務的調査のみならずイエローチェック等)も必須となります。
当社では、それらの実務に精通した専門ネットワークにより、効率的かつ迅速な実務をコーディネート致します。
C. 賃借ビル設備等の改善要望
賃借ビルに関しましても、空調や給排水設備、電気設備等が陳腐化している場合には、テナントとして積極定期に改善要望をすることが必要です。オーナー側にとっても改善事項の早期発見が出来るからです。
また賃借中の社員寮や社宅等のに関しましても、入居者向け満足度調査を実施して、改善点を洗い出し、オーナー側に改善を要求することが必要です。
当社では、オーナー側の管理体制に問題がないかをチェックし、改善の必要性が認められる事項に関しては要望書の作成と、交渉のサポートを致します。
D. 賃借ビルのスペース見直しによる削減
賃借ビルの場合、コスト面での最適化を図る有効な手段として、賃料の引き下げ交渉のほか、スペースの見直し(削減による合理化)チェックをすることをお勧めします。
たとえば、会議室や応接室の中で、使用頻度が低いスペースがある場合は、レイアウト変更プランを作成し、会議室兼応接室の仕様に変更することにより、スペースを大幅に削減できた事例があります。
また、書庫の整理をし、不要物の廃棄や、倉庫送りなどをすることで同様の効果が生み出される場合も多々見受けられます。
しかし大切なことは、スペースを削減するだけではなく、執務室のスペース配分の見直しを同時に行うことだと思います。
社員一人当たりの執務面積が過大である場合また過小である場合をチェックして、その機会に全体のレイアウトを見直してみることはかなり意義深く効果的です。当然のことながら業務効率の向上が確実に見込めるからです。
不動産費コストダウンは、賃料交渉によるものだけではなく、スペース合理化による効果が大きいことは今までの経験から明確です。(事例はコストダウンの項を参照)
結論として、不動産資産最適化のためには、所有不動産資産の収益性を高めることで価値を維持することが求められます。そのために、管理の質を向上させることや諸設備の改善による建物環境の向上(CS)が必要となります。
当社では、ビル経営管理士による管理体制効率化提案や長期修繕計画の策定、アスベスト・耐震調査などを総合的にコンサルティングさせていただき、その最適化をサポート致します。